EPISODE
Episode 04
連文の過去・現在、そして未来
50周年記念誌上座談会
■ date : August 11 1999 at : SOSEI, kurume
今後のあり方 |
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柿原 | 副会長の皆さんにお願いしましょうか。まず古賀副会長から、今後の「連合文化会」のあり方について、簡単でいいですから。 |
古賀 | 文芸部門で心強く思っておりますのは、文芸雑誌として年に一回出しています「久留米文学」に対して、投稿者の範囲がえらく広がったということです。それに伴って雑誌の売れ行きがどうなっているかというのを、私はちょっと関心を持っております。その雑誌を読んで、それなら自分も投稿しようとなる。それからこれは手前褒めになりますが、その作品の質もやや高くなってきた。質が高くないというのは杉本氏の創刊号以来、毎号毎号、机の上に山のように原稿が集まるが優秀な作品がないと編集後記にも述べられたことです。それでそのうらみがずーっと続いてきたのですが、今の状態をみるとそれが段々質量ともに少しずつ上向いてきているのじゃないかと、私は非常に心強く思っております。 |
船嶋 | じゃ、私はひとこと。現在これだけの会員―八〇〇以上の会員が集まって、こういう大きな連合会ができたということを、私達は誇りに思っております。
ただし一つ欠点がございます。各部門では非常にみんながんばっており、一つ一つの会は立派な成功を作りつつあります。しかしながらですね、相互の交流が不充分です。はっきり申し上げて、自分の会だけ一生懸命になって、よその部の動き方を全然知らない。 全ての事に皆さんが理解しあう。ここが「連合文化会」のあり方、仲良く文化を成長させる要素と私は存じます。皆さんが精一杯自分の仕事もいいです。しかし、連合文化会の方々とも仲良く手をつないで、今、八百何十人ですけど、千人ぐらいまでの大きな団体に育てる。これが私達の仕事ではないかと思います。 |
柿原 | それでは、花柳副会長どうぞ。 |
花柳 |
![]() 私は山口先生が亡くなられて、残りの任期をおひきうけしたつもりがそのまま続いて現在まで副会長をさせて戴いております。 連合文化会の後援、共催の日舞の会はそれまでもありましたが、近年はじめて主催の会を催すようになって、会員は沢山増えて参りました。それと共にお互いに刺戟し合って勉強もするようになって来たと思います。ただこれからの問題は日舞に限らず芸能部門としての質と数との問題で、例えば数では絶対的な民謡舞踊を連文に加入させていいものかどうかそうすると日舞の反対が強硬です。質を重視し芸術性を第一にすべきですが、気持を広めて市民との交流を大事にしてどこまで妥協すべきか、そのかね合いが大きな大きな課題です。 先日公民館大会で福岡の今津小学校の話がテーマになりました。古い歴史のある今津人形と言うのがありますが、今津小学校では希望者を募集して人形遣いの練習をはじめ、半年足らずで五・六年生による「阿波の鳴門」を立派に上演しているビデオをみて驚きました。もっとも古いと思われる義理人情の義太夫をなんの抵抗もなくちゃんと小学生が練習し、父兄達までが刺戟されて義太夫の稽古をするようになったとの報告でした。学級崩壊等で騒がれている現在、子供達の教育には、数人がかりで一体の人形を動かす稽古を通して協調、忍耐等を養うことができれば最適のものではないかと思いました。個人ではどうにもなりませんが連合文化会で力を合わせ、行政の方にも働きかけて学校のクラブ活動等でそんな方向にも行動出来たらいいと思います。 |
柿原 | ありがとうございました。 |
清水 |
![]() 私ごとになりますが、実は「久留米文学」に、投稿されておる歌を見てから、よしそれなら俺も作ってみようという気がしまして、それこそ恥をしのんで出してみたわけです。そしたら、たまたま二首掲載していただいて、昨年は佳作で三首載せていただいた。そうしているうちに面白くなってきたんです。 このあいだから、実は私事ですが四国に行きましてね、土佐清水というところで、治療を受けながら、暇で暇でしょうがないものですから、歌を一〇〇首ぐらい作りました。そんなこんなしてると、やっぱり面白くなってくるわけですよ。それで、こういうことならば何でも積極的にやらにゃいかんなと…。 この秋、九州の作曲家の会が共同ホールであって、隈丸光次氏に誘われて行ってみました。そしたら、一番最後に隈丸先生の曲があって、「ぴしゃーっと締まって良かったですよ。私は隈丸さん、さすがあなたの作曲が一番良かった」と言って話をしましたけれど、作曲の素晴らしさを知り行って良かったとつくづく思いました。 そういう意味で、連合文化会もいいところがあると思いまして、今からはできるだけ他の部門にも参加せにゃならんと思っております。 |
船嶋 | ちょっと言い忘れてました。さっきの続きですけど、実は私が感心したことは「写俳展」。一番私が感動するのは、写真と俳句の一つ一つがマッチしています。これが文化ですよ。
今、清水さんが言ったように、見れば分かるんですよ。華道展を見に来た人が、「こげんとが好いとるもんね」と言われたのが私の花だった。名前も何も見ないで…こういうふうに全然素人でも分かるんです。 私は花の専門家。フランスに昭和三十九年に行った。そしてルーブル博物館で花を活けたわけです。十五日間活けました。浮世絵と生花展。私は副団長で、団長は東京の偉い人達と。活けまして、ちょうどフランスに来てましたこの先生に見てもらった。「良か良かのーっ」と言ってあった。知らないでいいんです。見たらいいんです。 俳句でも、その中に入りこんだら分かるんです。なるほどいいこと書いてあるなあと、俳句は全然、知りませんよ。しかし、見れば分かる。 皆さんもその心を持って、連合文化会は手をつなぐ、問題はここですよ。踊りだろうが何だろうが、お互いに手をつないで何かをつくろうじゃないか。この何かが文化じゃないかと思う。知らない人に文化を広めていくことが大事じゃないかと思うんです。これが私の持論です。 |
花柳 | 先ほどは日本舞踊のことばかり言いましたので、ちょっと補足を。
芸能部門としてはいっしょになって、五十周年には、演劇部を中心にして、文学部から脚本を、演劇部に脚色をしていただいて、日本舞踊もバレエも邦楽、洋楽も入っているようなものをホントは理想としていたわけです。お互いに忙しくて、もう目の前に来ましたが、一回ぐらいそうしなくてはいけなかったなあと思っています。 |
柿原 | そう思ってましたもんね。 |
花柳 | 思ったばかりで終ってしまいました。申し訳ないと思っています。 |
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*Illustration ; AOKI SHIGERU Author : Sakamoto Toyonobu |