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文学界の人びと |
丸山 |
文学の場合、絵と同じに共通した筑後色というのがあるんですよね。
まず、久留米が誇りとするのは、短歌の二宮冬鳥。近年いよいよ珠玉の歌を創っておられます。三木一雄の小説も、私小説として得難いものです。その他には秀れた歌人の数名、俳人の数名を挙げることができますが、小説としては、いまフランスにいる帚木蓬生。国際的視野をもつ小説家として成長していくでしょう。 |
内野 |
うん。 |
丸山 |
それと高野義祐。また橋本従子、附設中学の田中博。二人とも筑後的な文体の人ですね。詩では古賀忠昭。彼だけは違うんです。反筑後的だし、筑後の伝統を無視した乾いた詩を書きますね。これに続く山本源太、彼の詩は抒情的ですよ。今村和美もいますね。
さて、俳句では伝統的な俳句が盛んで、それを破っていく自由律の俳句とか口語俳句とかは、久留米では伸びませんねぇ。ホトトギス派が圧倒的に多いんですね。 |
内野 |
そうです。久留米ではどういう訳でしょうね。俳句の場合は。…数による暴力、と言う人もありますが、私等にはよく判りませんが、そうでもないんですかね。 |
丸山 |
しかし、やはりセクトが激しいですね。だからセクトに促われない私たちから見れば、良し悪しは歴然としているけれども、その中に入ってみると自分たちの先生が一番良く見えるようで。 |
内野 |
そうですかね。もっと幅広い視野に立って指導してくれるか、世話をやいてくれる人がないものですか。河東碧梧桐や荻原井泉水、または種田山頭火のように自由韻律を志す若い人もいるんでしょうにね。残念なことですね。 |
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*Illustration ; MARUYAMA YUTAKA Author : Sakamoto Toyonobu
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